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水熱処理による土壌の除染

亜臨界と呼ばれる高温・高圧の状態の水を土壌と接触させることにより,重金属,有機物等と同様に土壌に付着したセシウムを水に溶出させる(水熱処理)ことができます。水熱処理によって,接触させた水は汚染水となりますが,土壌は洗浄されます。

図1は水熱処理を用いた土壌除染の流れを模式的に示したものです。段階1は,高温(200℃以上)高圧(2MPa以上)の亜臨界水による分解作用を利用して,土壌に強く固定されたセシウムを分離する過程を示します。亜臨界水と土壌の混合物は脱水機による遠心分離により,「固体」(洗浄された土壌)と「液体」(セシウムを含む汚染水)に分離します。洗浄され分離された土壌は,表面に再吸着したセシウムを除去するためにさらに水洗いされます。次の段階2ではセシウムを含む汚染水の浄化過程です。凝集・沈殿により,セシウムを含む汚染水からセシウムを沈殿物として回収します。セシウムが取り除かれた水は,放射性セシウム濃度が排出基準以下であることを確認後放流します。水熱処理試験装置と試験状況を図2に示します。

水熱処理試験は飯舘村クリアセンター内において実施しました。試験では,放射性セシウム濃度が低濃度,中濃度及び高濃度と分類した土壌試料の中から各分類の中で最も放射能濃度が高いものの3種類を用い,全部で11バッチ実施しました。試験結果の概要を表1に示します。これら11バッチの試験のうち,試験条件や装置の状況により試験の最終工程まで実施した例として試験番号7と11の2バッチについて試験結果をまとめたものを表2,3に示します。

これらの表に示すとおり,今回の試験においては,投入した土壌と除染・回収した土壌等の質量収支及び放射能収支が完全には取れませんでした。この原因としては,設備内に想定より多くの土壌が残留したこと,処理途中で蒸気の一部が設備外に放出されたこと等が考えられますが,これらは今回の実証試験により,基礎試験から実規模試験へのスケールアップ化における技術的な課題として明らかにすることができました。

これら2バッチ(7, 11)以外では,表1に示すように,高い放射能濃度低減率を示すバッチがあります。

今後土壌除染に向けた実用化のためには安定した回収率を維持する必要があり,今回の試験で得られたさまざまなデータを課題解決のための貴重な材料と考えて改善を図っていくことが強く望まれます。

     

図1 水熱処理を用いた土壌除染法の模式図

 

図2 水熱処理試験装置と試験状況

 

表1 試験結果

試験番号

1

2

3

4

5

6

土壌原量

①(kg)

100

50

50

30

30

30

②(Bq/kg)

1,928

1,928

9,972

9,972

32,821

32,821

除染物

③(kg)

3

微量

4

11

検出不可

4.5

④(Bq/kg)

48.9

1,442

2,267

7,220

回収率(③/①)

0.03

0.08

0.37

0.15

放射能濃度低減率
 (1-④/②)×100 (%)

97

85

77

78

泥水汚染物(沈殿物)(kg)

40

50

23

最終処理まで実施

実施

 

試験番号

7

8

9

10

11

土壌原量

①(kg)

30

30

50

50

50

②(Bq/kg)

32,821

32,821

32,821

1,928

9,972

除染物

③(kg)

17

27

40

25

17

④(Bq/kg)

23,809

12,144

19,189

3,598

4,605

回収率(③/①)

0.57

0.90

0.80

0.50

0.34

放射能濃度低減率
 (1-④/②)×100 (%)

27

63

42

-87

54

泥水汚染物(沈殿物)(kg)

10.6

26

26.8

最終処理まで実施

実施

実施

実施