現在地: 除染技術関連情報 課題とベストプラクティス 作業員の労働安全管理に関する課題とベストプラクティス

作業員の労働安全管理に関する課題とベストプラクティス

今回のモデル事業で発生した災害及び設備トラブル等を図1に示します。また,発生した災害を種類別に分類したものを図2に示します。

図2.4.5-11で示した災害,疾病,設備トラブル等は,作業現場で発生した労働災害のほか,通勤災害,作業員個人の持病等に起因した疾病,作業員の負傷がなかったものの設備を損傷させた設備トラブルを合わせて表示しました。

図1 災害・トラブルの発生件数 図2 災害の発生件数

 

今回の事業では,全体の約6割(19件)が災害(通勤災害を含む),約3割(10件)が設備トラブルとなっていました。災害のうち約6割が交通災害(通勤災害)となっており,降雪による路面凍結で3件のスリップ事故も発生しました。

労働災害については,転倒・つまずきが3件,刈払機による足指の切傷が1件,はさまれ・まきこまれ等が4件発生しましたが,いずれも大きな災害にはなりませんでした。

設備トラブルは,学校の遊具等の損傷,電話線の切断等が発生しました。いずれもクレーン付きトラック,高所作業車,バックホウ等の重機による損傷であり,各現場における周辺設備の状況確認が不十分で発生したものでした。

 

今回の除染モデル実証事業では,上記の災害・設備トラブル等の発生状況も勘案して,安全管理面の課題として以下の内容が確認されました。

  • 作業現場でのTBM-KYが不十分で,現地の設備状況を十分確認しないまま作業したため,設備を損傷させました。
  • 作業現場内では,防塵マスクをつけた状態での作業であったため,作業員同士の意思の疎通が困難でした。
  • 短期間で広い範囲の作業を実施する必要があったため,各地点とも100人~300人程度の作業員が一度に作業することとなり,委託先監理員が作業員の不安全行動を十分に監理できず,設備トラブルが発生しました。
  • 各地点とも通勤距離が長く,また,冬季の作業でもあったため,路面凍結による交通災害が各地点で発生しました。
  • 冬季で日が暮れるのが早かったため,足元が暗く転倒やつまずきが発生しました。対策として,照明で足元を照らす措置を行いました。
  • 冬期の寒い環境下での作業であったため,作業員が体調を崩し疾病が発生しました。
  • けが人が発生した場合,通常よりも受け入れ先の病院までの搬送時間を要するため,短時間の連絡と搬送手段が課題となります。したがって,以下の点を考慮した上で搬送ルートを決めておく必要があります。
    •  警戒区域から出る前のスクリーニング実施場所
    •  季節に応じた適切な搬送ルートの選定(夏と冬では,道路の降雪,凍結状態により最速ルートが異なります)
    •  放射性物質汚染の恐れがあることを想定した受け入れ病院の確保
  • 防護服(タイベックスーツ)や防塵マスクを着用した作業では,夏期の熱中症対策も課題となります。

 

災害が起きる恐れがある箇所や事象について,以下の対策を行いました。

  • 草刈機の使用にあたっては,作業員間に十分な間隔を確保しました。
  • 塀等の倒壊または倒壊の恐れがある箇所はロープで区画し,作業員に対して注意を促す立入禁止の表示を行いました。
  • シューズカバーを着用した作業では,地面の濡れた箇所で滑りやすく転倒の恐れがあったため,シューズカバーの着用を中止し,作業専用のゴム長靴を用意して作業前後に履き替えました。
  • 宅地の除染においては,作業時又は地震によりガスボンベが転倒またはゴム管が損傷してガスが漏えいする恐れがあるため,元栓を閉めてから作業を実施しました。

また,除染モデル実証事業において,他の作業員を監視すべき職長自身が作業を行ったことにより,作業員に目が行き届かなくなるといった事例がありました。職長は作業員の注意監視に注力すべきです。