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仮置場の整備・維持管理に関する課題とベストプラクティス

2.4.3①(c)b)で述べた可燃物の容積減少や圧縮,凍結土壌の融解に伴う沈下に対する防止策を講じる必要があります。その一つとして,フレキシブルコンテナ間の間隙を間詰砂などで埋めるといった方法が考えられます。

また,仮置場/現場保管場内部に配管等を敷設する場合は,除去物の荷重による応力を考慮した設計や対策を行うことが重要です。具体的には,配管周りのフレキシブルコンテナを安定に定置するとともに,フレキシブルコンテナと配管の隙間に砂等を充填させること,必要に応じて配管を二重構造とすることが挙げられます。

積雪量が多く,表土が凍結するような地域においては厳寒期以外の期間に仮置場を建設することによって,2.4.3①(d)b)で述べたような除去土壌等からの多量の浸出水や,不具合の多くを避けることができると考えます。

2.3.4「仮置場の整備・維持管理計画」で述べた,仮置場/現場保管場ごとの遮へい方法や,除去物の定置方法といった仕様の違いについて,2.4.3①(d)b)で整理した仮置場/現場保管場の継続的な監視によって明らかとなった不具合内容等と照し合せることにより,それぞれの仕様の長所・短所をまとめました。遮へい方法の違いに関するものを表1に,その他の仕様の違いによるものを表2に示します。今後,仮置場/現場保管場を設計する際には,その場の条件や優先的に考慮する事項を整理するとともに,表1及び表2で示した長所短所を考慮したうえで,仕様の最適化を図る必要があります。

表1 仮置場/現場保管場の遮へい方法の特徴

 

長所

短所

側面

遮水シートの内側

盛土

  • 遮へい機能として適切な量を設置可能
  • 体積変化への追従が容易
  • シートの紫外線ならびに鳥獣害の被害が予見される(⇒遮光性の保護マットを被覆することで被害を防止可能)
  • 設置工事が大がかりになる
  • 取り出し時には盛土の汚染確認が必要であり,汚染があれば中間貯蔵量が増大となる
  • 万一の補修時には,工事が難となる
  • 斜面の安定性確保のため,一定の勾配が必要となり,仮置場面積が大きくなる

フレキシブルコンテナ

  • 設置及び取り出し時の対応が容易
  • 設置工事が容易
  • 盛土に比べ斜面勾配を急にでき,仮置場面積の合理化が可能
  • 遮水シートの不具合を発見しやすく,補修が容易
  • シートの紫外線ならびに鳥獣害の被害が予見される(⇒遮光性の保護マットを被覆することで被害を防止可能)
  • 遮へい機能としては過剰な量が設置される場合もあり得る
  • 遮へい用のフレコンが除去物と接触するため,遮へい用フレコン内の土壌も撤去が求められる可能性がある

遮水シートの外側

盛土

-

-

フレキシブルコンテナ

  • 遮水シートを紫外線ならびに鳥獣害から防ぐことが可能
  • 厳寒地においては,フレコン内の土壌が凍結融解を生じることにより変形し,ズレが生じやすい

天盤

遮水シートの内側

盛土

  • 遮へい機能として適切な量を設置可能
  • 体積変化への追従が容易
  • シートの紫外線ならびに鳥獣害の被害が予見される(⇒遮光性の保護マットを被覆することで被害を防止可能)
  • 設置工事が大がかりになる。
  • 取り出し時には盛土の汚染確認が必要であり,汚染があれば中間貯蔵量が増大となる

フレキシブルコンテナ

  • 設置及び取り出し時の対応が容易。
  • 斜面の設置が容易
  • 遮水シートの不具合を発見しやすく,補修が容易
  • シートの紫外線ならびに鳥獣害の被害が予見される(⇒遮光性の保護マットを被覆することで被害を防止可能)
  • 遮へい機能としては過剰な量が設置される場合もあり得る
  • 遮へい用のフレコンが除去物と接触するため,遮へい用フレコン内の土壌も撤去が求められる可能性がある

遮水シートの外側

盛土

  • 遮へい機能として適切な量を設置可能
  • 設置工事が容易
  • 除去物の体積減少による沈下が起こった際に遮水シートに荷重がかかる
  • 万一の補修時には,工事が難となる

フレキシブルコンテナ

  • 紫外線ならびに鳥獣害から防ぐことが可能
  • 除去物の体積減少による沈下が起こった際に遮水シートに荷重がかかる

距離による遮へい

  • 設置費用の合理化が可能
  • 二次廃棄物の発生量が少ない
  • 取り出しが容易
  • 仮置場の面積の確保が必要
  • 近傍では線量が高くなり,住民感情として受け入れられない場合あり

 

表2 仮置場/現場保管場の各仕様(遮へい方法を除く)の特徴

 

長所

短所

可燃物と不燃物の定置方法

可燃物と不燃物を別ヤードに保管

  • 中間貯蔵施設への搬出時の分別が容易
  • 可燃物の火災対策ための仮置場の面積・高さ制限があるため,仮置場面積が必要。

可燃物と不燃物を同一ヤードに保管

  • 可燃物と不燃物の配置の工夫により,可燃物フレコンの沈降によるシート表面の凹凸を最小限とすることができる
  • 火災のリスクが低下する
  • 可燃物と不燃物の沈降割合が異なるため,遮水シート溶着部への負荷による破れが生じる可能性がある。

直接負荷部分としての法面の活用

あり

  • 狭隘な敷地でも対応しやすい
  • 遮へいが不要
  • 背面の地下水位が高い場合,遮水シートに水圧が掛かりやすい(⇒法面の遮水施工,場合により地下水対策が必要)

なし

  • 法面からの地下水の流入がない
  • 山間部では,切土面積が多く必要
  • 遮へい部が多く必要

浸出水の貯水方法

集水枡

  • 仮置場からの流出量,セシウムの流出のモニタリングが容易
  • 中間貯蔵へ移動するまで管理が必要
  • セシウム濃度が排水基準を超えた場合の処理装置が必要
  • 集水枡の容量の設定が難しい

堰堤

  • 大容量の浸出水の貯水が可能
  • 設置面積が多くなる
  • 中間貯蔵へ移動するまで管理が必要
  • セシウム濃度が排水基準を超えた場合の処理装置が必要

保護土の有無

保護土の敷設あり

  • 万一のセシウムの漏えい時に,セシウムの吸着層としての機能が期待できる
  • 底部遮水シートの保護が可能
  • 仮置場の容量の増加
  • 保護土はセシウム汚染の可能性があるため,除去土壌等となる

保護土の敷設なし

  • 仮置場の容量の低減
  • 汚染の無い土の確保が必要ない
  • 保護土の汚染による除去土壌の増加を生じない
  • 万一のセシウムの漏えいのための対策が別途必要
  • 枝葉等の突起物により遮水シートを破損する可能性が想定される
  • ヤード内に重機が入れない

不燃物の沈下事前防止策

あり

  • 沈下がないため上面への雨水の滞留等がない
  • 不燃物の事前処理施設または場所が必要。除染物がすぐに仮置場に搬入できないため,除染作業に支障の恐れ有

なし

  • 仮置場の設置工事が容易
  • 事前の処理が必要ない
  • 沈下により上面に雨水等が滞留。滞留水が仮置場内への流入の恐れ有

可燃物の沈下事前防止策

あり

  • 沈下がないため上面への雨水の滞留等がない
  • 可燃物の事前処理施設または場所が必要。除染物がすぐに仮置場に搬入できないため,除染作業に支障の恐れ有

なし

  • 仮置場の設置工事が容易
  • 事前の処理が必要ない
  • 沈下により上面に雨水等が滞留。滞留水が仮置場内への流入の恐れ有

 

仮置場等の維持管理の観点では,空間線量率や浸出水量の変動,地下水位,温度等を,図1に示すような携帯電話回線等の無線回線を用いた自動モニタリングシステムによって遠隔監視することは,以下の点でメリットがあると考えられる。

  • 放射線の遮へいや放射性物質の閉じ込めの安全性が維持できていることを常時監視できるとともに,その結果をタイムリーに公表することができる。
  • 不具合や異常が生じた場合に,迅速に対応することができる。
  • 警戒区域などの高線量地域への立入り回数を削減することができる。
  • 山間部などの測定のために要する労力と時間を削減することができる。

 

図1 自動モニタリングシステムの概念図