現在地: 除染技術関連情報 課題とベストプラクティス 除染作業に関する課題とベストプラクティス

除染作業に関する課題とベストプラクティス

除染作業に関する課題と対策及び得られた知見について以下に示します。

  • 地権者をはじめとする地域の住民や自治体から,作業の進捗状況や除染の効果などの情報提供の要請が多数寄せられました。地元の自治体や地域住民との間に信頼関係を築きながら進めていくためにも,個人のプライバシーに関する情報流出を防止するための情報管理を徹底しつつ,可能な限り,作業内容及び結果について,定期的に情報提供を行いました。
  • 本事業において,住民の方々からの同意を得る必要がありました。地元事情に精通し,住民の方々から顔の見える関係にある地元の行政区長や地元自治体の首長の助言を踏まえて企画し,意見集約においても多大な協力を頂いて,必要な同意を得ることができました。
  • 警戒区域内では,除染作業における基盤となる現場事務所や休憩所の確保,除染に使用する水の現地での確保が重要でした。本事業では,休憩所の確保が間に合わず,作業員が連続作業できる範囲の作業時間に制約を受けたケースや,水が現地で確保できず,警戒区域の外から持ち込んだケースがありました。一方地元自治体の協力が得られ,短期間の調整で,公用地や公共施設を休憩所等の施設として利用できるケースもありました。
  • 家屋の破損状況の調査については,専門業者に依頼して実施しましたが,この調査は除染作業による破損の可能性を調査するという工事損害調査に準拠したものであり,屋根に足場を組むことができるかどうかの判断をするような除染作業の実施するための適用環境条件や施工制約条件の調査までは実施していませんでした。今後の除染の事前調査では,家屋の破損状況だけではなく,当該家屋に適した除染技術を技術的に適用できる環境条件にあるのか,施工制約条件にひっかかるところはないか等の確認のための調査もあわせて行うことが効率的であると考えられます。
  • 破損した家屋については除染方法と除染実施箇所についての指針が望まれます。特に,除染実施対象地区内の倒壊家屋については,再汚染防止や線量率低減の観点からも,除染に先立ち撤去できる仕組みが必要と考えられます。
  • 除染実施対象地区内には,財物・廃棄物の判別が困難なもの,不法投棄されたと思われる廃棄物がありました。これらの取扱いを定めた指針が必要と考えられます。
  • 除染作業に使用するリース機材について,警戒区域等への持ち込みを断られる事例がありました。機材の適切な汚染検査,必要に応じ実施した除染方法等を広くリース会社等に情報提供し,このような事例をなくしていくことが必要であると考えられました。
  • モニタリングの方法の詳細なマニュアル化および作業員への教育を実施できず,モニタリングに使う測定器の向きの管理,人による遮へいの影響の排除,遮へい体(コリメータ)の有無や仕様の統一,測定器の動作温度範囲の考慮,NaIシンチレーション式サーベイメータのエネルギー補償の有無といった測定の基本的事項を徹底できませんでした。
  • 汚染状況の把握のための事前モニタリングのうちホットスポットの探索では,測定器の時定数を下げ,感度を高めて相対的に周囲よりも線量の高い所を探索するという測定方法が有効でした。また,GPSと線量率計を組み合わせた2次元線量率分布評価システムが,空間分解能が高いこと,測定に技量を必要とせず測定値のばらつきやホットスポットの見落としが少ないことから,ホットスポット探索に有効でした。
  • 測定点の数量を決めてモニタリングを実施していたケースもありましたが,一定の除染品質維持のためには,測定点数を柔軟に設定する必要があると考えられました。
  • いくつかのホットスポットについては,事前モニタリング段階では特定できず,取りこぼしが発生したケースもありました。ホットスポット探索の目的と具体的な実施方法がモニタリング作業員に徹底されていなかったことが原因の一つと考えられました。
  • 機構監督員が線量率や表面汚染密度が高い場所を探索する除染作業後のダメ取りモニタリングを実施しました。これにより,ホットスポットの見落としや土壌などの取り残しを極力減らすことができ,品質向上に有効でした。
  • 除染後のフォローアップ調査については,定点を代表点として除染前・中・後を通して長期的なモニタリングを実施し,再汚染の有無などを確認することが効果的でした。
  • 除染作業員は,自らが行う作業が適切かどうか不安に思いながら作業しているケースが見られました。特に,人力による表土剥ぎ取りにおいては,剥ぎ残しや取りこぼしの有無の判断が目視だけでは困難でしたので,除染作業中に測定要員を現場に配置し,適時除染効果を確認することにより除染作業のやり直し防止に努めました。
  • 除染作業については,作業員の作業方法により除染効果がバラつく傾向がありました。良好な作業方法を実演するなど,職長が作業員にしっかり教育することが必要でした。
  • 表土剥ぎ取りにおいては,人力作業・重機作業にかかわらず,土をすき取るときに土をこぼしているケースが認められ,これが除染効果に変動が生じる原因の一つと考えられました。土のすき取り時には土をこぼさないように配慮することが重要であると考えられました。
  • 表土剥ぎ取りで厚さを管理して除染する場合において,実際の土面では草の根があって予定剥ぎ取り厚さの表土が剥ぎ取れず,草の根を抜いて予定厚さ以上の表土を剥ぎ取らなければならないケースがありました。また,凹凸のある土地では,予定より厚めに剥ぎ取る必要がありました。事前に転圧することにより,予定された剥ぎ取り厚さからのズレを低減することができました。
  • 冬期間の表土剥ぎ取りでは,気温が低く,固化剤が固まらず機能しないケースがありました。一方凍土化した表土は,路面切削機を使って効果的に剥ぎとることが可能でした。
  • セメント瓦については,洗浄・拭き取りでは除染効果がほとんどありませんでした。瓦が割れないように表面を削る方法,セメントに吸着された放射性セシウムを脱離する化学的除染方法等の開発が望まれます。
  • 森林の除染において,竹まじりの林は,竹のない林に比べ,竹による落ち葉等の堆積物の量が多く,また,密生しているため作業性が悪く,間伐が必要であったことから,単位面積当たりの除去物発生量が多くなりました。
  • 作業の順番として,上から下の除染対象へ,上流から下流方向の除染対象へ,という作業順序を基本とし,土地利用区分では,道路は最後に除染をし,さらに,除去物の搬出経路は,道路の中でも最後に除染する方法をとりましたが,除染した区域の再汚染を防止する観点から有効でした。
  • 除染済みの場所をカラーコーン等で識別し,除染作業時の立入禁止措置を講じましたが,再汚染防止に有効でした。
  • 作業時間の管理や,線量の高い現場の作業員と線量の低い現場の作業員をローテーションすることにより,高線量地域においても被ばく線量限度を超えないように管理することが可能でした。
  • 作業時の被ばく線量測定に用いている個人線量計(APD)は,携帯電話と同じ場所に装着していると,携帯電話着信時に誤計数することがありました。また,チェーンソーについても機種により誤計数することがありました。
  • 作業員を害虫類(特に,ハチやマムシ)から守る対策,放れ家畜・ペットから作業員を守る対策等が必要であると考えられました。
  • 除染作業時に着用していた防護装備のうち,シューズカバーについては靴底の劣化が早く,また作業内容によっては足元が滑りやすくなり,危険でした。除染作業現場専用の長靴を使用し,廃棄物発生量の低減化および除染作業時の足元の安全性向上に努めました。