現在地: 除染技術情報 除染技術カタログ(第1版) プールの除染(吸着剤を用いた水中の放射性物質の除去)

プールの除染(吸着剤を用いた水中の放射性物質の除去)

除染ガイドライン作成調査業務報告書

除染技術の概要

 

 プール等の屋外で溜まった水に含まれる放射性物質を除去し,放射能測定による安全確認をしたうえで排水します。この除去過程では,ゼオライト等を用いて放射性物質を吸着させ,浮遊物とともに凝集,沈殿させます。
 排水後に残存する沈殿物は,除去物として適切に管理する必要があります。
 
除染方法

 

 学校のプール除染の実証試験で実施した手順は下記のとおりです。

  • 深さ毎に水の放射能を測定し,排水の目安とする基準未満の層にある水は順次排水していきます。
  • 網などですくい取れる落ち葉等は,バット等の水を受ける容器の網かごに集めて水を切り,ビニール袋に保管します。バット等に溜まった水は,プールへ戻します。)
  • 水でといだゼオライトを投入したポリタンクへプールの残存水を注入後,水が撹拌されている状態で凝集剤(PAC,ポリ塩化アルミニウム)を注入します。凝集剤の注入後にpHを測定,必要に応じて中和処理を行います。なお,排水の基準を満たさない場合,この処理を二次,三次的に実施します。
  • 凝集剤の注入後は,沈殿を待ち,放射能測定後にタンクの上澄み水を排水します。
  • プール,タンク内の沈殿物を脱水処理して,保管します。
  • プールを清掃します。

 

 

 

除染に必要な機器(代表的なもの)
  • 吸着剤(ゼオライト)・凝集剤(PAC:ポリ塩化アルミニウム)・pH調整剤
  • 中和剤・タンク(1t程度)・分析用容器・麻袋(沈殿物保管)・秤量器
  • 送水用ポンプ・ホース・バグフィルター・送水機能の動力源(燃料,電源)
  • 清掃用品・防水用品(長靴,ゴム手袋等)・マスク等

 

必要な安全対策
  • 除染を通じて,効率的な放射能測定により,排水に含まれる放射性物質の量が安全目安を下廻ることを確認するとともに,吸着,凝集処理を行う水の量を減らします。
  • 吸着剤,凝集剤を使用するため,化学的な安全にも注意を払う必要があり,水素イオン濃度(pH)については,5.8~8.6を遵守します。
  • 除染作業でプールに沈殿した泥,手作業で除去した落ち葉等を除去物として適切に保管する。除去物の保管でブルーシートが濡れないようにします。

 

作業による放射性物質の低減効果

 

 福島県内の幼稚園のプールで実施した試験では,放射性セシウムの濃度(平均)が4,312Bq/Lから123Bq/Lに減少させた事例があります。

 

除染作業の工数

 

 学校のプール除染の例を示すが,大きさ,状態により,必要な人員,日数は異なります。

  1. 人員20名程度

    内訳)管理者:1名,ポンプ作業:4名,サンプリング・放射能計測:4名,

    清掃作業:7名:その他スタッフ:3名

     

  2. 時間の目安
    • 作業の概要説明1時間
    • 排水路の確保土砂の撤去などで0.5日
    • 作業前の放射能測定プールで測定点を決め,サンプリング水を測定3時間
    • プールの上澄水の排出1日
    • タンクでの水処理1.5時間(1t当たり)
    • 沈殿物の水抜き量,天候等により,0.5~2日
    • 沈殿物の処理。袋詰め1.5~2日
    • プール清掃0.5日
    • 後片付け3時間

 

備考

 

 プールの他,人工池等の屋外で水を貯めている施設で,固液分離により上澄み溶液を排出し,残存する汚染沈殿物を回収する場合にも応用できます。

 

出典

 

 「学校プール水の除染の手引き」の公表について(平成23年9月7日国立大学法人福島大学(独)日本原子力研究開発機構プレス発表資料)