現在地: モデル実証事業とガイドライン事業の概要 2. 除染モデル実証事業概要 2.4 除染対象地区の放射線量等の測定とデータの解釈

2.4 除染対象地区の放射線量等の測定とデータの解釈

 除染対象地区の特性評価のため利用できる技術を適宜組み合わせ,線量率,表面汚染密度,放射性セシウム濃度を測定しました。測定箇所の位置情報と合わせることにより,除染計画の立案にとって有用な放射性セシウムの分布図(マップ)が得られました。


 除染モデル実証事業では,まず,デジタル地図や航空写真と既存の放射線量等分布データ(航空機モニタリング,走行サーベイデータなど)とを合わせた除染対象地区の初期汚染状況のマップを利用しました。より詳細な放射性セシウムの分布を把握するため,除染対象地区での測定は,線量率分布と放射性セシウム濃度分布の測定という2種類に大きく分けられました。前者は,地表面から一定の高さ(通常は1 mまたは1 cm)において付近のすべての線源から発せられるγ線の線量率を足し合わせたものです。対象地点の除染効果に関する情報を得るために,主にβ線(放射性セシウム(134Cs,137Cs)はγ(ガンマ)線とβ(ベータ)線を放出します)を検出するGM検出器を用いて地表近くで(1 cm)測定しました。連続的なサーベイ・ツール(無人ヘリコプター,バギー,バックパックに測定器を内蔵)は,森林や複雑な地形へのアクセスを容易にし,相対的な放射能分布の把握やホットスポットの発見に有用でした(図1参照)。


図1 除染対象地区の放射線量率等の測定

 放射性セシウム濃度の深度分布図によって,様々な土壌除染手法の利点を評価することができました。一般に,土壌に含まれる放射性セシウムの80%以上は,深さ約5 cm以内の表土に存在していました。密粒アスファルト舗装では,放射性セシウムの大部分が表面から2~3 mm以内に存在していました。

 除染による線量低減効果を予測するモデルによる評価を活用して,除染方法の選定を行いました。γ線は空気中の飛程が長いので(137Cs 0.66-MeVのγ線の空気中での半価層は約70 m),γ線の飛程を考慮して除染が局所的な線量率に与える正味の影響を評価することが求められます。従って,計画立案の指針として原子力機構が計算ツール(除染効果評価システム:Calculation system for Decontamination Effect(CDE))を開発しました(http://nsed.jaea.go.jp/josen/:日本語版のみ)。CDEは,対象エリアを5 mのメッシュに分割し,各格子セルについて表面の放射性セシウム濃度(一つの連続平面と仮定して,測定された空中線量から算出)及び土地利用形態を表示していくものです。除染地区の様々な土地利用形態ごとに設定される除染係数を用いることにより,除染後における線量率分布図の変化を計算することができます。得られた定量的な結果は,不確実性を伴うものの,様々な除染方法の組み合わせが線量分布に及ぼす影響を評価し,個々の対象地区の状況を踏まえた除染計画を策定するための参考情報となるものです。

図2 計算ツールによる除染効果の予測評価

 放射線量等の測定を除染前後だけではなく除染中にも実施することにより,期待した除染効果が得られているかどうかの確認や評価に活用しました。除染作業全体の面的な効果は,設定した複数の同じ地点における除染前後の線量率を比較することによって低減率として評価することができました。低減率は,除染後においても周辺からの放射線の影響を含めているため,除染効果を過小評価する傾向がありました。


 GM検出器による測定も,除染の前後で実施し,表面汚染密度(cpm)を測定しました。適切な遮蔽/ コリメーションを使用していれば,測定値は,(計測されるβ線の飛距離が短いため)表面汚染の程度に比例し,放射性セシウムがかなりの深さまで到達していない場合,除染前後の計数率の比率が,除染係数の直接的な測定値となります。

 除染の効率及び作業員の安全を確保するためには,信頼できる測定値に基づくことが求められます。検出器は一般に約0℃~40°Cの範囲での使用が想定されているため,検出器の使用温度には特に注意しました。一部の対象地区では温度0°C以下で測定する場合が多くあり,その場合には再校正が必要となりました。エネルギー補償回路の有無によるNaIシンチレーション検出器の相違によって測定バイアスが観察されました。従って,エネルギー補償回路の付いていない検出器で得た測定データは,適宜補正しました。