チェルノブイリ

 

 

プリピャチ市から見たチェルノブイリ原子力発電所

 

Reproduced with permission from the IAEA

事故後のチェルノブイリ4号炉7)

チェルノブイリ原子力発電所事故1)2)3)4)5)6)

1986年4月26日,チェルノブイリ原子力発電所の4号炉でシステム試験を行っている最中に惨事が起こりました。場所はプリピャチ市近くでベラルーシとの行政境界とドニエプル川が交わるところです。突然予期しない出力急上昇が生じたため,緊急停止を試みたところ,指数関数的な速い出力上昇が起こり,原子炉容器が破裂して水蒸気爆発に至りました。これにより原子炉内の黒鉛減速材が空気に触れ,発火しました。発生した火災により,大気中にフォールアウトのプルームが大気中に放出されました。プルームはソビエト連邦の西部とヨーロッパの広い範囲に漂流しました。1986年から2000年にかけて,ベラルーシ,ロシアおよびウクライナの非常に汚染された地域から350,400人が避難し,新しい場所に定住しました。

この事故による最終的な死亡者数の推定値は,非常にばらついています。これらの推定値の食い違いは,科学的データの欠如と死亡者を数える方法論の違いを反映したものです。特定の区分された地域内について論じるのか,あるいは全世界を対象にするのか,死亡者を即死,ある期間内,あるいは長期にわたって数えるのかによっても変わってきます。

事故が直接の原因となった死亡者は30人(急性放射線障害による死亡者28名含む)で,すべて原子炉運転員および緊急対応処理従事者です。原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の報告書では,放射線によると確認された死亡者総数は,2008年時点で64人としています。チェルノブイリ事故現場周辺で生活する住民に対する平均的な被ばく線量は,2008年原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)報告書では,11万6,000人の避難者では33mSv,汚染レベルの最も高い地域の住民27万人では50mSv以上,汚染レベルの低い地域の住民500万人では10~20mSvだったと評価されています。これらの周辺地域の住民を観察して, 他の様々な種類の病気の増加を指摘する医者や医療関係者が一部にいます。しかし,原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)やWHO,IAEAなどの国際機関では,子供を含めた一般公衆の間で白血病などの病気の増加がないことが科学的に確認されている,という理解で合意されています。

 

 

 

 

参考文献

1) United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation , UNSCEAR 2008 Report to the General Assembly, with scientific annexes: Scientific Annex D

2) The Chernobyl Forum: 2003–2005, Chernobyl’s Legacy: Health, Environmental and Socio-Economic Impacts and Recommendations to the Governments of Belarus, the Russian Federation and Ukraine

3) Kholosha, V.I., N.G. Koval’skij and A.A. Babich. Social, economic, institutional and political impacts. Report for Ukraine. p. 429-444 in: One Decade After Chernobyl. Summing up the Consequences of the Accident. Proceedings of an International Conference, Vienna, 1996. STI/PUB/1001. IAEA, Vienna, 1996.

4) Rolevich, I.V., I.A. Kenik, E.M. Babosov et al. Social, economic, institutional and political impacts. Report for Belarus. p. 411-428 in: One Decade After Chernobyl. Summing up the Consequences of the Accident. Proceedings of an International Conference, Vienna, 1996. STI/PUB/1001. IAEA, Vienna, 1996.

5) Voznyak, V.Ya. Social, economic, institutional and political impacts. Report for the Soviet period. p. 369-378 in: One Decade After Chernobyl. Summing up the Consequences of the Accident. Proceedings of an International Conference, Vienna, 1996. STI/PUB/1001. IAEA, Vienna, 1996.

6) Voznyak, V.Ya. Social, economic, institutional and political impacts. Report for the Russian Federation. p.379-410 in:One Decade After Chernobyl.  Summing up the Consequences of the Accident. Proceedings of an International Conference, Vienna, 1996. STI/PUB/1001. IAEA, Vienna, 1996.

7) International Atomic Energy Agency, Environmental consequences of the Chernobyl accident and their remediation : twenty years of experience / report of the Chernobyl Forum Expert Group 'Environment', IAEA, Vienna (2006).
   (http://www-pub.iaea.org/mtcd/publications/pdf/pub1239_web.pdf#page=155)