日本の国内規制

 

全体的な規制体制

原子力に関する法律の基本となるのは,1955年12月に制定された原子力基本法(法律第186号)です。この法律は,原子力の研究,開発及び利用を推進することによって,将来におけるエネルギー資源を確保し,学術の進歩と産業の振条とを図り,もつて人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的とします。この理念は原子力事業の規制に関する枠組み作りに用いられ,また,この法律の具体的な側面は以降の独立した法令で扱われることとなっています。この基本法に基づき,原子力委員会(AEC) と原子力安全委員会(NSC)が設置されました。その他条項では,原子力に関する鉱物の開発取得,核燃料物質の管理,原子炉の管理,放射線による障害の防止,原子力事業に伴う補償などについて謳っています。

2001年に中央省庁が再編される以前は,原子力事業を規制する責務は科学技術庁(STA)と通商産業省(MITI)の両方にあり,どのような事業が関係するかによって分かれていました。再編により,直接,総理府(現内閣府)に報告をしていた旧科学技術庁は,旧文部省に統合され,現在は文部科学省(MEXT)となり,一方, 旧通商産業省は,経済産業省(METI)となっています。

 

最近の規制体制の変更

福島原子力発電所事故により日本の監督体制の欠点が明らかになったことにより,政府はすぐさま2011年8月に,新しい規制体系を作ると発表しました。

原子力規制機能と原子力推進機能を分離するとの意図から,原子力規制委員会(NRA)が,環境省の外局として設置されました。NRAは,様々な省庁の関連する機能を統合し,原子力の安全,安全保障,保障措置,放射線モニタリング,放射性物質などに関する規制に責務を負っています。また環境省のもとに,新たに原子力安全調査委員会(NSIC)が設置されることになっています。この組織は,NRAの有効性を評価し,原子力事故等の調査を担当することとなります。

放射線防護に関する規制

1957年制定の放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(以後,障害防止法と言う)と,同じく1957年制定の核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以後,炉規法と言う)が,いずれも放射線防護に関する問題を規制しています。

障害防止法は,放射性同位元素の使用,販売,賃貸,廃棄その他の取扱い,放射線発生装置の使用及び放射性同位元素又は放射線発生装置から発生した放射線によって汚染された物の廃棄その他の取扱いを規制することにより,これらによる放射線障害を防止し,公共の安全を確保することを目的とします。この法律に従って,放射性同位元素や放射線発生装置に関連するどのような業務についても,申請書を文部科学省に提出しなければなりません。障害防止法は,放射線による被ばく線量限度も設定しています。線量限度は,作業従事者については年間50 mSv ,一般公衆については年間1 mSv となっています。障害防止法は1980年に改正されて,放射性核種を含む装置の検査および認可制度が導入され,また放射線取り扱い主任者が必ず受けなければならいない資格講習が規定されました。1995年にはさらに改正が行われ,放射性核種の貸与に関する制度が制定され,また,放射線危害の小さい放射性核種線源の使用の手続きが簡素化されました。許認可制度の簡素化は,その後2004年の改正で強化されています。

原子力安全委員会(NSC)は,安全に関わる問題についての責務を原子力委員会(AEC)から引き継ぐため,1978年に設立された委員会で,原子力施設の認可において重要な助言を与える役割を果たしていました。原子力安全委員会は,原子力の使用やフォールアウトによる障害の防止に責任を負っており,原子力安全・保安院(NISA)のような監督機関が行った安全検査の評価を行っていました。原子力安全委員会(NSC)は,2012年9月に廃止され,原子力規制委員会(NRA)へ移行されました。