自然バックグラウンド

 

自然バックグラウンド被ばくの主な線源 1)2)

 

宇宙線: 一次宇宙線が地球大気の上層部に入射すると,連鎖的に次々と二次粒子が発生します。それによる地上で放射線量は,主にミュー粒子(短寿命の素粒子),光子(ガンマ線)と中性子によるものです。荷電粒子(主にミュー粒子)と光子については,世界平均の実効線量率は,0.28 mSv/年 です。中性子については緯度と経度の影響を考慮すると,世界平均の実効線量率は0.1 mSv/年です。

 

宇宙線起源放射性核種: 降り注ぐ宇宙線は,上述のように,外部被ばくの要因の一つであるだけでなく,環境中の媒体,特に空気中に放射能を誘起します。非常に多くの種類の放射性核種が発生しますが,そのうち炭素14のみが実効線量率が約0.012 mSv/年と大きく寄与しています。

 

原始放射性核種とその崩壊系列核種: 地球起源の自然に存在する放射性核種が,環境中に遍在的に見られます。半減期が地球の年齢と同程度の放射性核種とその崩壊生成核種のみが,現在でもかなり多く存在します。地上からのガンマ線による空気中の吸収線量率の直接測定が,世界の多くの国で行われています。世界平均の実効線量率は0.48 mSv/年です。ただし,国により0.3-0.6 mSv/年の幅があります。しかし,外部線量率は高自然バックグラウンド地域でかなり大きくなります。そのような地域は,高濃度のトリウムを含むモナズ石の砂鉱床帯だったり,火山性土壌帯だったり,温泉に伴うラジウムの蓄積地だったりします。平均して原始放射線核種とその崩壊系列核種による内部被ばくは,ウラン系列とトリウム系列(ラドンを除く)で約0.12 mSv/年,カリウム40で約0.17 mSv/年です。ラドンの被ばく(ラドン220とより重要なラドン222)は値に幅がありますが,世界平均で約1.2 mSv/年です。人間の世界平均の自然被ばく線量は年間2.4 mSvです。

 

 

参考文献

1) Thorne, M C, Background Radiation: Natural and Man Made, J. Radiol. Prot., 23, 29-42, 2003

2) United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation, UNSCEAR 2000 Report  the General Assembly, with scientific annexes